トマホーク発射は戦闘行為には当たらない?

毎度、言うとくけど、テロには反対。でも、報復にも反対。読むのん面倒くさい人にはこれだけでええけど。

中谷防衛庁長官、今回の法案で自衛隊の活動地域が「戦闘行為が行われていない地域」とされていることに関する「米艦船は戦闘地域か」という質問に対し、「トマホークが発射されている船は戦闘地域に当たらない」って言いおった。彼によると、「戦闘行為」とは「人を殺傷し、物を破壊する行為」であり、「その場ではそういう行為は行われていないから、ミサイル発射は戦闘行為ではない」そうである。おいおい、ほんなら何け、人が死んだり怪我をした、その場所だけが戦闘区域なんけ?ほんなら同じ理由で爆撃してる飛行機も戦闘区域外やな?銃を撃ってる場所でも反撃されてそこで被害が生じん限りそこは戦闘区域とちゃうんやな?ゴルゴ13が狙撃してる地点なんて、戦闘区域の遙か彼方やな?そんなアホな。更に笑えるのは、津野内閣法制局長官は「現に発射していない時間帯もあるから」可能と言ったそうだ。ほんならなにけ、例えばついさっきまで戦闘行為が行われていても、その行為が終わった途端に戦闘地域でなくなるから、自衛隊は行けるわけやな?彼は米艦船が「戦闘区域ちゃうから給油できる」て言いたかったんやろけど、そんなもん、カメの腹筋。(無理だ!)日本の最高の言論府でそんな超低レベルの答弁(と言えるのか?)がされてること自体、情けないやらあきれるやら。

そもそも、「新しい戦争」とか「テロとの戦い」とか言うときながら、「戦闘地域」とか「後方支援」とか、そんな古い概念を当てはめるのがナンセンスやて。ニューヨークが前線やったか?ワシントンが戦闘区域やったんか?そもそもテロって、攻撃対象が戦争をやってない人間に対してなされるもんちゃうん?これはテロに対する戦争なんやろ?すでにそれだけで論理破綻してないけ?
テロに限らずとも、戦争っちゅうもんは「ここは戦闘地域、最前線でござい」ってとこばっかり攻撃するわけちゃうわな。広島、長崎が戦闘区域やったか?後方を叩くなんて、古今東西、戦争ではむしろ常識ちゃうん?三国志でも貸したろか?
更に言えば、憲法9条が認める範囲ちうのを無理矢理作ろうとするから話がおかしなるねん。

笑い話を一つ。自衛隊がパキスタンに行って援助物資を運んだ。隊員140名、P130C輸送機6機で3泊4日。物資はテント、毛布、給水容器など。これをイギリスのように民間機に頼めば1機で11時間で済む計算なのだそうである。そしてその毛布はパキスタン製やて。なんじゃそら?NGOに金預けて現地で買い付けて配った方がよっぽど効率的で、喜ばれたんちゃうん?っちゅうか、その茶番に無駄な税金なんぼかかってんの?結局、自衛隊を何とかして「使いたい」だけなのね。
今国会の参考人としてアフガニスタンで医療活動をしている中村医師が呼ばれた。かれは自衛隊派遣は有害無益と断じ、医官派遣についても懐疑的な見方を示した。(彼に限らず、ワシの知る限りでは現地に行った人は皆、反対している)参考人聴取の後、自民党のある議員が彼に、「先生、心配しなくて良いですよ。法律が出来ても実際にはパキスタンに自衛隊は派遣しませんよ」と言ったという。なめとんか〜〜!!!ほんなら、何やねん?今のドタバタは?末添サンですら、手が回っていない状況と言っているスピード審議。重大な法案こそ時間をかけて審議するべきやんけ。


こんなアホが「防衛庁長官でござい」ってんで、更に事態は深刻に。なんせ、今回の法案、どさくさに紛れて「防衛庁長官が指定した秘密を漏らしたりそそのかしたやつを罰することができる」ときた。今までなら、防衛秘密自体の秘密の正当性を争えたが、今回のは防衛庁長官が「これ、秘密ね」と言えば、そのこと自体の妥当性を争えない。例えば、鮎川あみのアソコを防衛秘密と指定されてしまったら、誰も表だってそれを見ることができないのである(別のところは立っているが。)そして、「鮎川あみのアソコが防衛秘密っておかしいやんけ!」と言ってもそれは論議にすらならない。防衛庁長官が「秘密」言うたら「秘密」になってしまうのである。
さらに、「秘密」の内容は秘密やわな(当たり前)?そうすると、例えば新聞記者が政界汚職を取材していたとする。ある日突然、「昨日、あんたが取材したネタは防衛秘密やったんや。タイホする。」「ちょ、ちょっと、待ってえな。ワシ、そんな覚えないで。」「やかましい!とっととお縄につけい!」「ほんなら聞くけど、何が秘密やったんや?」「それは、ヒ・ミ・ツ!」みたいな逮捕劇が繰り広げ(クリ拡げ?)られるかもしれない。

昔、ワタリ(白戸三平・作)という漫画で描かれた伊賀忍者の里を支配した恐怖の「死の掟」。支配者だけがその掟の内容を知り、里の者にはその内容を明かさない。そして、里の者は何が掟に触れることなのかも分からず、知らぬ間に掟に触れて殺される....そんな話が現実になるのかも....。

今回、外交秘密を外したのは今、外務省が醜聞で泥まみれやからやろ?「外交も含めると反発喰らうから今はやめとこ」てなもんやろ?逆に言えば、そういうスキャンダルを暴くこともでけへんようになってまうで。少し前にあった防衛施設庁のスキャンダルもや。そう考えると官僚に秘密を持たせて国民にプラスになることなんて一つもあれへん。それで国民が幸せになるんやったら共産主義の実験は成功したはずやで。
中谷は社会通念上許されない行為のみが対象だと言うが、ほんなら別にわざわざ改正する必要もないやんけ。それにそんな説明、ナンボでも拡大解釈できるし、今までしてきたやんけ。冒頭に書いた二枚舌を読み返すまでもないわな。ちなみに彼はこうも言っている。周辺事態法の解釈について「中東やインド洋は(周辺地域として)想定されていない」という過去の政府答弁について「想定していないと言っているだけで出来ないと言っているわけではない」と。何でもアリか?
防衛庁に限ったわけではないが、官僚は何でも秘密にしたがる。例えば88年には防衛庁が那覇基地に対潜水艦作戦センターを建設するために提出した図面を市民が公開請求し、市は公開を決めたが、国が「防衛行政上著しい師匠が生じる」として差し止め提訴をした。だがこれは防衛庁も「秘」していない物で、同地裁が秘密の内容を調査した結果、支障はないと判断し今年、最高裁で国の敗訴が確定した。この訴訟を担当したある参事は「防衛庁は秘密でない物まで隠そうとする傾向がある」と語っている。
小泉内閣がプライバシーを盾にした言論統制を目論んでいることと考え合わせると、ちょっと恐ろしい。