悪魔の兵器・劣化ウラン(その1)

劣化ウランとは、天然ウランを核燃料としての純度を高めるために濃縮作業を行う過程でできる、言わば「核のゴミ」である。そのゴミを処分し、さらに敵に損害を与える優秀な兵器、そう、まるで「プルサーマル」のような夢の兵器、それが劣化ウランなのである。

米軍は「劣化ウランは安全」と、日本の旧科学技術庁みたいな宣伝を繰り返している。が、日本の法律では劣化ウランは核燃料物質に分類され、輸送容器や原子力施設内で厳重に保管されるべき危険物質なのである。アメリカでも同様。それを他国になら撒き散らしてもよいという理屈は断じて通らない。

劣化ウランは96年国連人権小委員会によって、賛成15、反対1(もちろんアメリカ)、棄権8(何故か日本を含む)で非人道兵器・大量破壊兵器と決議されている。生物兵器と並んで、ね。

しかも、米軍の安全という基準は固形(使用前)の状態でのことだそうである。早い話、劣化ウラン弾を取り扱うに当って「安全だよ〜ん」といっているに過ぎない。この兵器の本当の凶悪さは、燃焼すると言うこと。劣化ウランは燃焼すると気化する。すなわち、空気中に拡散して人や動物、植物、あらゆるものに害悪を及ぼすのである。劣化ウランを吸い込むと、それは体内に蓄積され、体を蝕む。要するに、タバコを触っても癌にならないと言っているに過ぎないのである。

そんなに安全やったら、劣化ウランでティーカップでも作ってお茶でも飲んだら?

米軍は湾岸戦争従軍兵士のいわゆる「湾岸戦争症候群」にアタマを悩ましているが、全てではないにせよ、劣化ウランの影響があると思われる。しかも彼らは戦争中だけ、劣化ウランと付き合ったに過ぎない。イラクの民はその汚染された地域に住みつづけているのである。そして、今も新たに汚染されているのである。人為的に。意図的に。ちなみに劣化ウランの半減期は45億年ね。

ちなみにアメリカが湾岸戦争において使用した劣化ウランは320トンだそうである。これは英国原子力公社によれば700万人を殺せる量だと言う。ちなみにコソボで使ったのは10トンね。今回の戦争では、既に750トンが使われたという推計もある。