何とかしてイラクを攻撃したいんやけど....

最近話題になっているオニール元財務長官であるが、彼によるとブッシュ大統領が政権当初から「何とかイラクを攻撃する方法は無いか」と、攻撃するための大義名分を探していたという。

ニューヨークタイムズ紙は、イラクの大量破壊兵器の捜索をしていた米チームのうち400人がひそかに帰国していたと報じたそうである。国防総省関係者は「調査に値するものは調査し終えた」と語り、大量破壊兵器発見の可能性が低くなったことを示唆したそうである。

最近デンマーク軍がようやくびらん性のガスの疑いのある砲弾を発見したとも報じられたが、それもイ・イ戦争当時のものである可能性が高いという(米英が問題視していたのはもっと後、湾岸戦争以降のもの)。

そしてとうとうブレア首相は「開戦当時はイラクに大量破壊兵器があると信じていた」と責任回避ともとれる発言をしたそうな。で、「今はどうよ?」というツッコミに対し、「正しかったかどうか分からない」と答えたそうな。小泉はまだ考えが変わらんのか?(文中一部敬称略)

てな記事を書いていたら、当の調査チームの親分デビッド・ケイ氏が辞任し、「大量破壊兵器なんか無かったで〜」と言い出しているというニュースが入ってきた。アメリカ政府は「まだこれから発見できるもんね」と言っているが...。

ブッシュは最初、イラクが「核兵器開発をやろうとしている」という疑惑をでっちあげて、それがヤバくなると「大量破壊兵器を持ってる」と言い出して戦争に突入した。これもでっち上げだった可能性が強くなったわけである。

そもそもこの「大量破壊兵器」というのは生物・化学兵器と、それを散布する手段(ミサイルなど)を指すが、生物・化学兵器に関する国際条約は生物兵器禁止条約(BWC)、化学兵器禁止条約(CWC)によって禁止されている。ところが、イラクはBWCには加盟しているがCWCには加盟していない。なのでイラクが化学兵器を持っていてもそれを罰することは法的にはできないのである。

そんなもん、イラクが加盟せえへんのが悪いんじゃい。」その通り。加盟させてそれに従わせる。この外交交渉が本来取るべきやり方であったはず。米英の言い分は「イラクは45分で大量破壊兵器で攻撃できるからそんな悠長なことやってられへん」ということであった。だからそれがウソなら外交の場で解決できたはず。ちなみにアメリカは自分の都合が悪い条約には参加していない。当然、その規定も守らない。

そして、イラクが保有しているとされた疑惑の化学兵器は1千トン。(しかもそれは前出のケイ氏によって否定されたが)。ほんでアメリカが「こんだけ持ってまっせ」と申告した化学兵器の量は3万1千トンである。

で、この条約は締約国が「保有する化学兵器及び化学兵器生産施設を申告し、原則として条約発効後10年以内に廃棄する」と記されている。で、条約発効が1997年4月なので、2007年4月までに化学兵器を全廃するという世界目標を設定しているわけである。で、イラク戦争は2003年やったよな?確か...。

イラクはBWCの締約国だが、この条約は「使わないでおこうね」という条約であって、まぁ精神的な規定の条約なのである。だからこそフセインも条約に参加したのであろうが。で、当然、この条約を実効性のあるものにしようという動きが出てきた。が、それに反対しているのは他ならぬアメリカなのである。

小泉は「フセインが過去に化学兵器を使ったのは事実なのだから」と言っている。ほんならアメリカがベトナムで使った枯葉剤も弾劾するねんな?(文中一部敬称略)