イラク占領

少し前だが新生イラク軍の新兵訓練だと思われるドキュメントをちらと見た。
アメリカ軍によるアメリカ式の訓練。軋轢もある。当然だ。

アラブ人にとってヒゲは成人男子のシンボル(チンチンではなく)。だが、その訓練の仕上げはヒゲを剃ることである。拒否すれば兵士にはなれない。抵抗する新兵。だが容赦なくヒゲは剃られる。インタビューに答えた米軍仕官らしき人物は当然のように答えていた。「アメリカ軍のやり方でやっている。」何故?

「何でそこまでアメリカ式にやる必要があるねん?」「何で文化の違いを尊重せえへんねん?」最初は単純にそう思いながら見ていたが、ふと気が付いた。これはアメリカの周到な作戦なのであろう。

第一に踏絵効果。言わばアメリカを本当に受け入れ、アラブを捨てるのか、の覚悟があるかどうかを見極める。ただ単に金に釣られてとか、軽い気持ちで来た連中に対してアメリカに対する忠誠を叩き込む効果があるのだろう。

第二に識別効果。何故って、事は単純。アラブ人を見分けられないアメリカ人でもヒゲなら一見して見分けられるからである。

逆にいえばヒゲの無いアラブ人は危険極まりない生活を送ることになる。抵抗勢力からしても事は簡単だ。「ヒゲの無い奴は殺せ。」
どちらにせよ裏切り者と見なされる彼らの前途は暗い。彼らが矢面に立たされる分、米兵は相対的に安全になる。


折りしもブッシュが正式政府発足に当たって「民主化のプロセスは終了した。」などと例によって超能天気な演説をしたらいが。

それにしてもフセインがクエートを占領したときあれほど非難して戦争まで仕掛けた国際社会が、アメリカがイラクを占領しているのに全く批判の声が上がれへんのは何故なんや?