死人に口無し

フセイン元イラク大統領が処刑された。死刑判決から2ヵ月後に死刑確定、確定から4日後の処刑である。

しかもその罪状が1982年にシーア派148人を殺した責任やと。笑わせる。ブッシュはファルージャで何人殺した?

この件に関しては多くの記事があるが2つだけ紹介する。

1つは愛媛新聞の大晦日の社説「フセイン大統領 死刑執行を急ぐべきでなかった」

もう1つは御馴染みシバレイ氏のブログである。是非見に行って欲しい。

クルド人に対する弾圧や化学兵器の使用、クウェート侵攻など解明しなければならない事件は山ほどあったはずだが、それにフタをするように急いで処刑しなければならなかった理由は何か?

まず裁判の公正さに重大な疑義があるということ。米軍が戦争捕虜として拘束したフセインは本来国際裁判で裁くべきである、という声を無視してアメリカは占領中にイラク高等法院を設立、米政府関係者約140人を「顧問」として送り込み、膨大な予算をつぎ込んだ。

国連もこのイラク高等法院の正当性を疑問視し、国連による独立法廷を設置すべきという報告を出している。また、国連人権高等弁務官ルイーズ氏は「不公正な審理による死刑の執行は国際法に違反する」との声明を出している。

ブッシュは「公正な裁判だった」と言っているが。

愛媛新聞によると「裁判長は政治介入を嫌気して辞職したり、『被告に寛容すぎる』という理由で更迭されたりした。 常に傍聴を許された国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は、裁判官らが国際法をほとんど知らず『厳格な立証を求められる大量虐殺罪を公正に裁く能力がない』と指摘。重要な証拠が弁護側に事前開示されないなど『公判は根本的な欠陥だらけだった』と報告している。」

そして口封じ。イラン革命の波及を恐れたアメリカはフセインを焚きつけてイランに侵攻させた。当時のレーガン政権は全面的にフセインを支援した。フセインの生物・化学兵器や核開発にはアメリカの24の企業が関わっていたという報告がある。クウェート侵攻はアメリカがお墨付きを与えたことは有名である。

てか、ブッシュが大統領の間に殺しておかなければ、叩けばホコリが出まくり、という事態になるのを恐れたのであろう。

ブッシュとマリキは一向に改善しない治安に対して高まる批判をフセインを処刑することによって「目に見える成果」として提示したかったのである。てか、それしか提示できるものが無い、と。

宗派対立を助長させることを承知で、だ。つまりやブッシュとマリキはイラク国民の命よりも自分たちの(超近視眼的)政治的メリットを優先させたわけである。